一人っ子は「親の愛情を全面に受けるから、自己肯定感高そう」といったイメージを持たれやすいです。実際のところ、どうなのでしょうか。
筆者は一人っ子で育ちましたが、その経験から言うと、一人っ子は自己肯定感が高い傾向にあると思います。
もちろん、個々の性格は様々ですが、少なくとも一人っ子育ちという環境が自己肯定感を高めるのに一役買っているのは間違いないでしょう。
一人っ子が自己肯定感高く育つ理由
一人っ子が自己肯定感高く育つ理由は、大きく3つあります。
理由①兄弟と比較される機会がないから
一人っ子が自己肯定感高く育つ最大の理由は、比較対象がいないことです。自己肯定感を高めるアドバイスに「人と比べず、ありのままの自分を認める」というものがあります。まさに一人っ子の育つ環境は、自己肯定感を高めるにうってつけと言えるでしょう。
これに対して、兄弟間(特に同性)であれば、事あるごとに「できた / できない」の比較が発生します。兄が何か秀でた結果を出し、弟はそうでもない…といった場合、弟の自尊心には少なからず影響はあるでしょう。
こういったシチュエーションが発生し得ないというのが、一人っ子が自己肯定感高く育ちやすい一番の理由です。
理由②褒められる機会が多いから
一人っ子は親から褒められる機会が多いのも、自己肯定感が高くなる要因の一つです。特に幼少期の承認というのは、子どもの自己肯定感に大きく影響します。親の愛情を100%受けるというのはもちろん、親にとっても初めての子育てであるというのが大きいと思います。私自身、勉強やスポーツなど些細なことでもよく褒められた記憶がありますし、やはり子どもが1人である分、褒める際に注がれる熱量も大きかったと思います。
筆者の母いわく、「とにかく過剰に期待はしない。健康に育ってくれれば良い」と心底思っているらしく、実際に自分が仕事で上手くいかなくて退職した時なども、一切否定的なことは言われませんでした。
初めての子育てというのは長男長女も同じですが、成長するに従って彼らは「お兄さん」「お姉さん」の役割を期待されることが多く、お兄さんなんだからできて当たり前といった扱いを受けることも珍しくありません。
こういった点で、やはり一人っ子は他よりも承認されやすいポジションであり、自己肯定感の高さに影響すると考えられます。
理由③他者との勝ち負けに執着しないから
一人っ子は、勝ち負けにこだわらない傾向にあります。何が何でも誰かに勝つといったガッツがあまりなく、いい意味で脱力している人が多いです。他者との勝ち負けにこだわらなければ、自分を低く認識することも少なく、結果として自己肯定感が低くなるシチュエーションというのが発生しづらいです。
とはいえ一人っ子にも向上心・闘争心がないわけではありません。その矛先が他者ではなく、自分に向いていることが多いのです。言い換えると、「自分との戦い」にこだわる性格です。
スポーツ選手を見ても、フィギュアスケートの羽生結弦選手や浅田真央選手、水泳の北島康介選手などは一人っ子です。彼らのスポーツは競争ではあるものの、それは誰かに勝つというより、自分の良い演技をする・自分のベストを更新するなど、過去の自分との戦いであることが多いです。
このように、「あの人と比べて自分はダメだ」と感じるような瞬間があまりない一人っ子は、自己肯定感が低くなりづらいと言えるでしょう。
一人っ子は「自己否定をしづらい」=結果的に自己肯定感が下がらないというのが正しいかも
ここまでの内容をまとめると、一人っ子は自己肯定感が高いというよりも、自己否定をすることがあまりない=自己肯定感が低くなりにくい、というのが正しいかもしれません。
自己肯定感が下がる要因はいくつかありますが、やはり一番大きいのが「自分はダメだ」と直面する経験でしょう。
兄弟がいれば、喧嘩をすることも多いと思いますが、喧嘩=(一時であれ)悪意を向けられる・言葉で自分を否定される、というものです。一方、一人っ子が兄弟喧嘩をすることはありませんから、「誰かに負ける」ということが家庭内では基本的にありません。
また前述の通り、過度な期待をされることがなく、褒められるハードルが割と低いので、「ありのままの自分で良い」という認識が自然と育まれるのかもしれません。
必ずしも全員が自己肯定感高くいられるわけではない
もちろん、必ずしも全員が自己肯定感高くいられるわけではありません。親の接し方や家庭外での経験が性格に影響することはよくあります。
例えば、次のような経験が多ければ、一人っ子でも自己肯定感が低く育つことはあるでしょう。
- 親からの過度な期待を受ける
- 親から褒められることがあまりない
- 片親など、親と接する時間が少ない
- 学校でいじめを受ける など
幼少期に否定的な扱いを受けた経験が多いほど、自己肯定感は低くなります。それに輪をかけて、一人っ子は「愛情を注がれて育ってていいね」のような言葉をかけられることも多いですから、それに反発して更に「自分はそうじゃない」といった自己否定に陥る人も少なくありません。
自己肯定感の高さがちょっと裏目にでることもある
筆者の体験ではありますが、自己肯定感の高さが裏目に出ることもあります。例えば、日本は「謙遜」の文化であり、自分を低く見積もることがコミュニケーションにおけるマナーのような側面があります。反対に、自己肯定感が高い人は、ナルシストのような扱いを受けることも。
本来、自分を低く示さなければならない局面なのに、自己肯定感高く振る舞ってしまうと、印象が悪くなるということも少なからずあったりします。
一人っ子は、他者とのコミュニケーションが兄弟のいる人より少なくなりがちなので、こういったところでコミュニケーションが下手になってしまうこともあるのです。
まとめ
一人っ子が自己肯定感高くなる理由をまとめました。
- 理由①兄弟と比較される機会がないから
- 理由②褒められる機会が多いから
- 理由③他者との勝ち負けに執着しないから
個人的な実感としても、一人っ子育ちで否定されることがあまりなかったので、それが自己肯定感の高さに繋がったかなと思います。とはいえ、筆者は社会に出てけっこう否定的な扱いを受けたので(例えば周りよりも就活の面接が全く上手くいかなかったり)、そういった経験から、それなりに自己肯定感が下がるということもありました。個人の性格は、幼少期の影響が大きいですが、それ以外の要因もあるものです。なので、一概には言えませんが、あくまで「一人っ子は自己肯定感が高くなりやすい環境である」ということだけご理解いただければと思います。
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