一人っ子の男性は恋人関係に発展すると甘えん坊になると言われることがあります。実際のところはどうなのでしょうか。
結論から言うとNOです。一人っ子は末っ子よりは甘えん坊ではなく、かろうじて「長男長女よりは甘えん坊」と言えるかなと思います。一人っ子の人から幼少期の環境について色々と話をうかがうことが多かったのですが、一人っ子=甘えん坊のような印象を受けることは特にありませんでした。
一人っ子は特に甘えん坊というわけではない
甘えん坊とは、「他人に甘える気持ちの強い人」と定義されます。ではきょうだいの関係性はこの性格にどう影響するのでしょうか。
一番甘えん坊なのは末っ子
真っ先に考えられるのが「末っ子は甘えん坊」説です。幼少期からきょうだいに何かをしてもらうことに慣れていて、頼みごとをしたりするのが上手い傾向にあります。
末っ子は他の子どもよりも多く親から甘やかされることから, 甘えん坊であり, 一般的に人格面の弱さが指摘されている。 親は誕生時の愛情や保護をいつまでも保ち続け, 赤ん坊扱い・幼児扱いをする期間が長くなりがちである。 親ばかりでなく, 兄や姉の態度も同様であり, 依存的で甘ったれな性格を末っ子に備えさせてしまう。 大人に手をかけられるという点
では, 長子の場合とほとんど変わらないが, 下にきょうだいができることがないので, この甘やかしの環境はいつまでも続くのである。 常に家族の最年少者として注目・関心を集め, 決して王座の地位を奪われることはない。
さて、上記の研究論文に照らしてみると、一人っ子は特に甘えん坊ではないという根拠が見つかります。
一人っ子は大人扱いされがち
一人っ子は家庭内で子どもと接する時間がなく、代わりに大人とコミュニケーションを取るばかりなので、同年代と比べると、大人びている人が多い傾向にあります。言動がいい意味で子どもらしくないため、早い段階で「大人っぽいね」と言われることが多いです。
上記の論文では「末っ子は赤ん坊扱い・幼児扱いされる期間が長くなりがち」とあり、一人っ子も確かに親目線ではそうかもしれませんが、学校や社会に出る期間を含めると、むしろ大人扱いされることの方が多いです。
依存先のきょうだいがいない
上記論文では、末っ子に対して「兄や姉の態度も同様であり, 依存的で甘ったれな性格を末っ子に備えさせてしまう。 」とあります。これに対して一人っ子は、きょうだいがいないので、甘える相手が(親を除いて)いないという状況です。むしろ一人っ子は甘え下手(甘え方が分からない)という人も一定数います。
一人っ子に甘えん坊が多いと言われる理由
では実態と違って、なぜ一人っ子は甘えん坊が多いと言われるのでしょうか。
親の愛情を丸ごと受ける
やはり一番の理由は、親の愛情を独占するというイメージでしょう。これが「甘やかされている」のように認識されることも多いです。
確かに、一人っ子は親の愛情を受ける瞬間は一番多いと思います。というより、ほかのきょうだいに親の愛情が向いていると感じる瞬間がない、といった方が自然です。なので長女や長男、中間子と比べて甘やかされる機会は多いと言えるでしょう。
自分から何かをしてあげる経験がない
一人っ子は周囲に人がいない環境が当たり前ですし、誰かに何かをしてあげるという体験がありません(弟や妹がいれば日常的にするようなことですね)。そうすると、何かをしてもらって当たり前、のような感覚がナチュラルに根付いてしまいます。
この「誰かが何かをしてくれる」のような感覚が、周囲からすると「他人に甘えている」という印象につながるのです。
希望が叶う経験が多い
筆者の個人的な記憶をさかのぼっても、たしかに希望が叶うことは多かったと思います。例えば何かを習いたいといった時に、反対されるケースがあまりありませんでした。きょうだいがいるとやはり、親の時間や金銭的な問題などを理由に、何かを諦めざるを得ないことは多いと思います。しかし一人っ子は相対的にそういったことが少ないので、「自分がやりたいと誰かに言ったことが実現する」というのが感覚としてあり、それが甘えん坊のような振る舞いにつながってしまうと考えられます。
まとめ
この記事の結論は、「一人っ子は恋愛において必ずしも甘やかされる存在にならない」というものです。とはいえ、やはり長男長女など「何かをしてあげる」役割を担う人と比べると、「何かをしてもらう」経験が多い一人っ子は、甘えん坊に映るかもしれません。
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